4月28日にドンバトラー(Don Butler)が亡くなったという連絡がありました。
正確な死因はわかりませんが、数か月前から体調が悪く、1週間前に発作があったとのことです。 心よりご冥福をお祈りします。 ドンバトラーは、ドンキング、チェスターヘイプに次ぐシェリダンスタイルレザーカービング(Sheridan Style Leather Carving)の大成者の1人でしたが、一般的なシェイダンスタイルが流れに重点を置くのに対し、ドンバトラーのデザインはダイナミックな流れが特徴的で、モチーフ(花・葉)の重なりやダイナミックな流れによって立体的な視覚効果を持った作品が多く見られました。
また、彼の作品素材は革だけでなく彫金にも及び、より立体感のあるシルバーエングレイビングパターン(Silver Engraving Pattern)を作り上げていました。 ドンバトラーの店「カスタムカウボーイショップ(Custom Cowboy Shop)」はシェリダン・コディーの老舗ウェスタンショップですが、晩年はただのウェスタンショップというより、一流のクラフトマンが製作したサドル・ビット・スパー・バックルの展示場もしくは美術館に変わっていきました。まさにカウボーイクラフトへの心酔がこのような境地に至らせたのだと思います。 彼のデザインスタイルは、新しいデザインに挑戦する上でどれだけ伝統の裏付けが重要であるかを教えてくれます。レザーカービングのブームに乗って様々なオリジナルデザインが登場する今日ですが、彼のもとに様々なジャンルのクラフターの作品が集まり、コラボレーションがなされたのは、ウェスタンのデザインを十分心得て、間違いないものに仕上がるはずだという安心感があったからでしょう。
彼の意志は、革の世界だけでなく、カウボーイクラフトに携わる多くのクラフターに引き継がれるものと確信します。
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